映画『ジュラシック・パーク』で有名なティラノサウルス・レックス。
誰もが知っていると言っても過言ではないほど有名な恐竜ですが、今年2月の上旬、カナダでティラノサウルス類の新種が発見されたとの報告が入りました。
今回はなんと「死神」と名付けられた恐竜を紹介していきたいと思います。
研究の詳細は、1月23日付けで「Cretaceous Research」に掲載されています。
A new tyrannosaurine (Theropoda:Tyrannosauridae) from the Campanian Foremost Formation of Alberta, Canada, provides insight into the evolution and biogeography of tyrannosaurids
ScienceDirect
死神の名を持つ恐竜
体長約8メートルのこの恐竜は、ギリシャ神話の死神「タナトス」にちなみ、タナトテリステス・デグロートルム(Thanatotheristes degrootorum)と名付けられました。
発見された化石から分析すると、タナトテリステスは成長すれば歯の大きさが約7センチ、お尻の高さが約2.4メートル、そして全長は8メートルを超えるそうです。
研究者曰く「同地域でこれまでに発見されているティラノサウルス類の中では、最古にして最大」だそう。
発掘されたタナトテリステスの頭蓋骨化石からは「目から鼻の上部に沿って走る、2つの垂直な鼻梁」という特徴が発見されています。
この特徴は、近縁のティラノサウルス類にも見られないものでした。
鼻梁がどんな機能を持っていたかはわかっていませんが、この特徴が新種としてタナトテリシスを特定づける根拠となったようです。
最古のティラノサウルス類
タナトテリステスが生息していた年代は少なくとも7900万年前に遡るとされます。
一方、あらゆる恐竜の中で最も有名と言っても過言ではないティラノサウルス・レックスは、約6600万年前に生息していた恐竜です。
つまり、タナトテリステス は北米北部のティラノサウルス類としては最古の発見例になるらしく、更に、同時期に生息していたと思しき恐竜の中でも、生態系ピラミッドにおける頂点に位置する捕食者だったと考えられます。「死神」と名付けられた理由が窺えますね。
食物連鎖の関係から、生態系ピラミッドの上層に立つ肉食恐竜たちの化石は非常に貴重で、今回の発見も古生物学的に非常に重要なものとされています。カナダでティラノサウルス科に属する新種の化石が発見されるのは、およそ50年ぶりの快挙となったそうです。
ティラノサウルスの進化を紐解く大きな発見に
タナトテリシスは、今まで研究対象になっていなかった岩石層から発掘されました。
7950万年前のこの化石は、初期のティラノサウルス類がどのように巨大な捕食者として進化したのかを探る大きな手掛かりとなり、研究者は「現在わかっている限りでは、北米北部で最古のティラノサウルス類の化石」と話しています。
ティラノサウルス類がいかに北米大陸全域を支配するまで繁栄し、地球史における頂点捕食者に上り詰めたのか。その起源と進化を紐解く発見として、今後の研究にも期待できる話題でした。
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