『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』を読みました。
この本は、いわゆる「仕事がうまくできない」「会社の人間関係がうまく行かない」など、社会人として生きる上で何らかの困り事を抱える人のため、仕事に対しての向き合い方やコツを語る本です。
作者のひとり、小鳥遊(@nasiken)さんは過去にADHD(注意欠陥・多動性障害)と診断され、社会人として何度も失敗をしながら仕事をしていた過去を赤裸々に語っています。
もちろん、社会人として困り事を抱えている人すべてがADHDという訳ではないのですが、かくいう自分もADHDを抱えており、子供時代から社会人になった現在に至るまで、多くの苦労を抱えています。
例を挙げると、
・集中力がない
・忘れ物が多い
・物事を先送りしてしまう
・ケアレスミスが多い
・整理整頓が苦手
・職場でいつの間にか孤立している
などなど、例を挙げればきりが無いのですが、一見「そんなの誰だってあるよ」と思える困りごとが人よりも多いというのがADHD特有の症状です。
もちろんADHDを抱えている人に限らず、「頑張っているのになぜかうまくいかない」「社会人としてやっていく自信がない」という方は沢山いると思います。社会人として仕事をするうえで、ある程度の成果を出さなければいけない。けど、いつの間にか周りの人と差を付けられている……
頑張っているのに結果がでない。ならどう頑張ればいいのかが分からない。
誰も教えてくれない社会での世渡り方法を、『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』は、ピンポイントに教えてくれます。
あれ、でもこれ「僕は出来てる」ぞ……?
『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』は、本の中で合計で80個も、仕事をするうえでのちょっとしたコツを紹介しています。
例えば物事の優先順位が付けられないとか、上司に「何を言っているかわからない」と言われてしまうなど、読んでいて「うわー、あるある……」とつい頷いてしまうことの嵐でした。
そんな、仕事をしていく上で無限に立ち塞がる困り事を、ひとつひとつ、今日からでも出来そうな工夫やちょっとした心がけで乗り越えていく方法を、本書は紹介しています。
しかし改善案を見ていると、「あれ、これ無意識にやってるな……」ということが自分の中で意外にも多いことに気づきました。
もちろん、否定的な意味ではありません。作者のひとり、小鳥遊さん自身は、本書の冒頭で、自分がいかに仕事をする上で苦労したかという経験を赤裸々に語っています。つまりこの本は、作者自身が経験した失敗と改善が蓄積されたデータであり、突き詰められた方法論なのです。
失敗を繰り返すたびに改善案を捻り出し、それでも失敗をすればまた改善案を絞り出す。それでも別の角度から失敗をする……
それは社会に出て日々つらい思いをしてきた僕と同じでした。
毎日が失敗の連続で、その中でやっと見つけた答えをちょっとずつ、ちょっとずつ、集めていく。それは僕が生きる為に日々トライアンドエラーを続け、やっとのことで生み出したサバイバル知識。
この本を綴るまでに経験した作者さんの苦労が、あたかも自分の人生に重なるかのようで、読んでいるだけで共感の嵐でした。
社会に出てから今まで、生き辛さを感じながらせめて社会に適応するために血反吐を吐きながら仕事をしてきた僕を肯定してくれるような本で、読んでいて何度も「うんうん」と頷いていました。
この生きづらい社会で生き抜くための道しるべ
ADHDやASDなどの発達障害、その他の精神疾患を抱えている人、勿論そうでない人も同じく、一人前の社会人として認められるには、ある程度の結果も求められます。努力の過程が認められることは少なく、どれだけ頑張ったとしても、結果が伴わなければ意味がないのがこの社会の真実です。
普通にやってもダメならば、自分なりの工夫をしていくしかない。社会のカタチと僕らが合わないのではあれば、僕らが少しずつ変わるしかない。
人はそれぞれ、違った個性を持っていて、色々な魅力があると僕は信じています。「仕事ができない」「ダメなやつだ」とレッテルを貼られた人でも、まったく別の現場では天才と評価される事も充分にあります。
自分がいつか輝ける居場所は必ずある。そのために、この生き辛い社会でもうひと踏ん張りするために。
『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』は、毎日を暗闇の中で生きている社会人のための、一筋の光となってくれるでしょう。
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