ステージを降りたアイドルの「その後」とは?『アイドル、やめました』感想

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読書感想文

『アイドル、やめました』を読みました。

僕はいわゆる、アイドルマスターなど二次元アイドルにしか触れてこない人生を送ってきたオタクです。AKBグループなどの三次元アイドルには関心がなく、知識は全くない状態でした。

そんなところ、アイドル好きな同居人の勧めでこの本に出会いました。

引退したアイドルたちの「その後」が書かれているこの本。

読んでみたら存外に興味深い内容だったので、以下、感想を書いていきたいと思います。

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概要

AKB48グループを卒業しセカンドキャリアに挑む元アイドルたちを、自らもSDN48から会社員を経てフリーライターとなった大木亜希子が追跡取材するノンフィクション企画。10代から20代にかけて一般社会を離れアイドルとして生きてきた彼女たちが、卒業後に歩み始めた“第二の人生”。「元アイドル」だった彼女たちは今どこでどのような人生を歩んでいるのか。現役時代の葛藤、転機、そして現在までの喜怒哀楽に踏み込みます。
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ステージを降りた後のアイドルたち

『アイドル、やめました』の著者は元SDN48のメンバー、大木亜希子さん。現在はライター業にて活躍されている彼女が自身と似た境遇の「元アイドル」を取材し、アイドル引退後のセカンドライフについて踏み込んだ内容の本になります。

テレビの歌番組やバラエティ番組、雑誌やスポーツ新聞の記事、街頭の宣伝広告……僕たちが生きる日常において、どこかしらでアイドルの姿を見かける事が多い現在。

しかし、表舞台に立っているアイドル達はほんの一握り。ステージに登るチャンスを待ち望んでいたものの、日の目を浴びず業界を去っていくアイドルたちのほうが多いのが現実的な事実であることが、本書には書かれています。

この本では、保育士、アパレル、ラジオ局社員、バーテンダー、声優など――かつてステージにて輝きを見せたアイドルたちが、引退した後、どのような人生を送っているのかが語られています。

「アイドル」は人生における通り道でしかない

合計8人の体験談を読み終えると、どの方も若いころからアイドルに憧れており、オーディションに合格し、過酷な競争の中でステージに立った方ばかりでした。

しかし、全ての「元アイドル」たちは、アイドルであったことを懐かしみはするものの、決して後悔しているという事を口にせず、むしろその経験が今の人生で生きているという前向きな言葉を口にしています。

例えば、テレビに出た事で臨機応変な対応を身につけられたり、過酷なスケジュールを送ってきた経験が、多忙な社会人生活の役に立ったり、ステージの上で何百人のファンの前で踊った経験から、多少の緊張では動じなくなったりと、アイドルとして生きていたこと全てが今の人生に役立っているという事を、彼女たちは口を揃えて語っています。

今、輝く彼女の表情を見ていると、「アイドルは人生の通過点だった」という生き方は負け組でもなんでもなく、あってもいいのではないかと思う。なぜなら、ステージの中央からではなく、端っこからだからこそ見えていた景色と経験が、人生をより豊かにしてくれているはずだからだ。
『アイドル、やめました』17ページより引用

と、作者の大木亜紀子さんは語っています。

あくまで個人的にですが「アイドルはステージこそが到達点」と思っていた部分がありました。しかしステージを降りた後も彼女たちの人生は、それから何十年も続いていくのです。

まとめ どんな経験も、その後の人生を生きる糧となる

世の中には結果論が蔓延っています。

成功しなければ意味がない、努力をしたところで、結果がついてこなければ意味がないと、成功体験を積み重ねなければ、それまで送ってきた人生の価値すらも否定されかねないのが社会です。

しかし、かつてアイドルでありながらも、ステージの上から降りた彼女たちだからこそ、これからの人生を輝かせる為の術を知っているのだと、アイドルたちが送るセカンドキャリアの中で語られています。

本書にはその後のアイドルたちが今どのような人生を送っているのかという体験談に加え、現在の写真が掲載されています。確かにその姿は年を経て社会経験を積んだ、大人びた姿だと感じます。しかし、やはり普通の人とは違うオーラ……確かにその人はアイドルだったのだと思わせる何かを、やはり持っているのではないかと感じさせました。

全ての経験は、必ずその後の人生に繋がっていくのだという希望をもらえたような、素晴らしい読書体験でした。

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