Netflix配信『ジュラシックワールド/サバイバル・キャンプ』を観ました!
本作はスティーブン・スピルバーグ監督が1993年に手掛けた映画『ジュラシック・パーク』からつながるシリーズとして作られており、シリーズ4作目の『ジュラシック・ワールド』で起きた事件と同じ時系列を描く、いわばスピンオフ作品として制作されました。
制作は『シュレック』などで有名なドリームワークス。
シリーズ初のアニメ化作品として以前から期待していたのですが、結論から言うと、シリーズファンとして大満足な出来でした。早速レビューしていきたいと思います。
ジュラシックなのに「白亜紀」キャンプ?
今作の邦題は『サバイバル・キャンプ』だが、原題は『Camp Cretaceous』。
つまり直訳で「白亜紀キャンプ」となる。
もともとジュラシック・パークに登場する恐竜は、ティラノサウルスやトリケラトプスをはじめとした、中生代の白亜紀に生息する恐竜が多い。そのため「ジュラシック・パーク(ジュラ紀の公園)という名前にそもそも矛盾する」という指摘も、ファンからは多く寄せられていた。
ゆえに今作の『Camp Cretaceous(白亜紀キャンプ)』という題名は、ある意味でシリーズファンに対してのアンサーとも言える。
今作でレギュラーとして登場するカルノタウルスやアンキロサウルス、シノケラトプスは実際に白亜紀に生息していた恐竜であり、もちろん本編でも充分な活躍を見せてくれる。
ジュラシックでありながら、白亜紀。同じ世界観を有したサイドストーリーだからこそ出来る「お遊び」的な題名に、ファンならばニヤリとさせられること間違いないだ。
過去作への愛あるオマージュ点
全体的なあらすじとしては、ジュラシック・ワールドよりも一作目の『パーク』を意識しているように思えた。キャンプのプレオープンに招待された一行が事件に巻き込まれ、恐竜からの逃避行を余儀なくされるという部分など、意識してオマージュしたと思しき点がとても多い。
例えば、一話でイスラ・ヌブラル島に降り立った一行を迎えるのは『パーク』に登場するジープ・ラングラーのカラーリングを意識したであろう車だったりする。
そして、キャンプに向かう道中、ゲストを迎えるメインゲートが開く瞬間。
『あの』メインテーマが流れてきた途端。
僕らは再び、イスラ・ヌブラルの地に帰ってきたことを実感する。
他にも、オマージュ点を挙げて行けばきりがなさすぎるくらいだ。シリーズファンならば、オマージュ部分を探すだけでも楽しめるくらい、今作には過去作への愛が溢れている。
もちろん、アトラクションの楽しさも健在だ。
『ワールド』本編ではジャイロスフィアや赤ちゃん恐竜との触れ合いコーナーなど、ジュラシック・ワールド自体の楽しさを存分に魅せてくれた。
それは本作でも同様で、例えばジップラインやラボ見学など「実際に行ってみたい!」と思わせるようなアトラクションの数々を、惜しみなく表現している。
悪い意味で言うと、子供たちがヴェロキラプトルやカルノタウルスの檻にやすやすと侵入できてしまう部分など、セキュリティ意識が低い部分についても他のシリーズと同様の空気を感じた。
ウー博士のラボにブルックリンが侵入し、インドミナス・レックスに関する資料を盗み見られてしまう辺りはもはやいち企業として致命的じゃないかとまで思ってしまうが、彼の傲慢な性格を考えると、それもまぁ、シリーズ的にはありかなと思ってしまう。
スピンオフ作品、それも実写ではないフルCGのアニメーションでありながら、今作にはしっかりと、ジュラシック・シリーズのDNAが受け継がれている。
クソガキVS無能な大人たち
『サバイバル・キャンプ』では、さまざまな背景を持ちながらジュラシック・ワールドに招かれた6人の子供たちを中心に、物語が進行していく。
恐竜オタクの少年ダリウス、金持ちボンボンのケンジ、有名配信者のブルックリン、テキサス生まれ牧場育ちのサミー、潔癖症のベン、人付き合いが苦手なアスリート少女ヤズ。
一癖も二癖もある少年少女が集まれば、早速何が起こるかというと、それはもう決まっている。
さっそく大人の目を盗み、夜中にキャンプを抜け出したダリウス、ケンジ、ブルックリンだが、ヴェロキラプトルの飼育場に向かったあげく檻の中に落ちてしまい、あわや危機一髪。
反省を命じられたダリウスとケンジだが、彼らは再び単独行動を試み、結果カルノタウルスの檻に迷い込んでしまい、あわや肉食恐竜の餌になりかけてしまう。
規則を守る気もなく、各々の好き勝手に動き回る子供たちと、それを律しようとする大人たち。
大人たちの管理が行き届かず、結局子供たちがスキを見つけて逃げ出してしまう……という構図は、どこか『ジュラシック・ワールド』本編の、恐竜が脱走する過程を想起させるものとなっている。
しかし、インドミナス・レックスが脱走したところから、事態は急展開する。
混乱するパークの中、誰の助けも期待できず、少年少女は自分たちで生き延びることを強いられる。
子供だからといって好き勝手にしてはいられない時間が、来てしまったのだ。
物語を通して描かれる「成長」
『ジュラシック・パーク』シリーズでは、キャラクターの成長が脚本の中で自然に描かれている。
例えば『ジュラシック・パーク』の主人公であるアラン・グラント博士は子供が苦手な性格だったが、事件を通じ、ティムやレックスら子供たちを守らなければならないという使命感に目覚める。
同じ事が『サバイバル・キャンプ』の主人公、ダリウスにも言える。
父親を病気で亡くして以来、明るかったダリウスは、どこか消極的な性格になっていた。自分の決定に自信が持てず、キャンプのメンバー内での立ち位置もぎこちなく、周囲に溶け込めずにいた。
そんな彼が心の拠り所にしていたのが、父親の形見として身につけていたネックレスだ。
ダリウスは父親と「ジュラシックワールドに一緒に行く」と約束していたが、残念ながら約束は果たされなかった。形見のネックレスを父親代わりに、ダリウスは一人でジュラシックワールドに訪れる事になった。
しかし物語の中盤、遺伝子操作により作られた人造恐竜インドミナス・レックスが脱走し、キャンプが破壊されてしまい、父親の形見であるネックレスは取りに行けない場所へと追いやられてしまう。
父の形見からも離れ、正真正銘ひとりぼっちになったダリウスだったが、そんな時、父の言葉を思い出す。
思い通りにいかない事もある。
人生はハチャメチャで、時にはつらいこともある。
でも大丈夫、そんな時は壁を乗り越えて進んでいけばいいんだ!
楽しかった父との思い出を胸に秘め、ダリウスは自らリーダーシップを発揮し、絶望的な目の前の状況に立ち向かうという決断を下すのだった。
ダリウスに倣うように、自分勝手だったキャンプの仲間たちも、生き残るため決断を余儀なくされる。
金持ちの父親に対しコンプレックスを抱いていたケンジも、友達となったダリウスを助けるために自らの意思で行動を始めた。有名インフルエンサーがゆえに他社からの承認欲求に飢えていたブルックリンも、他人に評価をゆだねず、自分の価値を自分で認められるようになる。
特に成長が顕著なのがベンだ。
ウエットティッシュとハンドジェルが手放せないほどの潔癖症で、かつインドアで臆病だったベンは、ウー博士のラボでアンキロサウルスの「バンピー」の孵化に立ち会う。
片方の角がないまま生まれたアンキロサウルスのバンピーは、生まれた直後にウー博士にできそこない扱いされてしまう。そんな境遇を見たベンはバンピーに感情移入したのか、インドミナス・レックスの襲撃後、ラボから逃げ出したバンピーの親代わりになり、メンバーの一員として同行する。
ウェットティッシュとハンドジェルが手放せなかったベンが、泥だらけになることをいとわずバンピーや仲間のために行動する様は、まさしく成長の一言に他ならない。
他にも多くのキャラクターが、命の危機をきっかけに、思いもよらぬ側面を見せる事になる。
終盤ネタバレ:子供たちは、真のサバイバルに直面する
あらゆる困難を乗り越えたダリウスたちは、脱出のためにフェリーの待つ港へと向かう。
モノレールを襲うプテラノドンの群れや、執拗に追いかけてきたカルノタウルスたちを退け、ようやくフェリーの待つ港に辿り着くダリウスたち。
しかし努力も虚しく、フェリーは既に出港してしまい、結局ダリウスたちは島に取り残されてしまった。
されど、数多の苦難を自力で乗り越えたダリウスたちから希望は消えていなかった。彼らは恐竜の島と化したジュラシック・ワールドで、必ず生き残り、家に帰るという決意をするのだった……
という所で『ジュラシック・ワールド サバイバルキャンプ』は幕を閉じます。
シーズン2の展開は?
シーズン2は2021年にNetflixで公開が決定しており、ティザーPVが公開されています。
シーズン1のラストで島に取り残されたダリウスたちが、恐竜たちに囲まれる中で懸命に生き延びようと試みる様が、PVの中でも見て取れます。
どうやら今までの作品では描かれずにいた『ワールド』から『炎の王国』までの空白の時系列が描かれる模様で、シリーズお馴染みTレックスやコンプソグナトゥス、ケラトサウルスの姿をはじめ『炎の王国』にも登場した肉食恐竜バリオニクスの姿も見て取れます。
また、2021年といえば、ジュラシック・ワールドシリーズの完結作である『ジュラシック・ワールド ドミニオン』の公開年でもあります!
本ブログでも徹底考察していくのですが『サバイバル・キャンプ』と『ドミニオン』が、作中で何か関係してくる可能性も充分あります。スピンオフ位置づけの本作と本編がどうリンクしてくるのか、シリーズファンとしても注目していきたいところです。
まだ間に合う!『ジュラシック・パーク』シリーズはどこで見れる?
『サバイバル・キャンプ』はもちろん単独でも楽しめる作品であるのは間違いないですが、シリーズ作品を履修しておくと、面白さが段違いです。
また、2021年公開予定の最新作『ドミニオン』公開までに今までの作品をおさらいしておきたい人、ジュラシックシリーズを見たことが無い方は、この機会に是非観てみることをおすすめします。
ジュラシック・シリーズ全5作を網羅したDVD、ブルーレイの完全パックが出ています。
ブルーレイもお求めやすい価格ですが、個人的におすすめなのはU-NEXTです!
『ジュラシック・パーク』から最新作の『炎の王国』まで、シリーズ全てが見放題で配信されているので、場所や時間を選ばず、シリーズを視聴することができます。
自粛ムードで暇を持て余している世の中ですが、U-NEXTは現在31日間無料キャンペーン中。
かくいう自分もこの無料キャンペーン期間に映画を見まくりました。
無料期間中に途中解約してもデメリットは一切ありません!
『サバイバル・キャンプ』とあわせて、また最新作『ドミニオン』の予習として、過去作を観てみてはいかがでしょう!
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